英語に興味がある方なら「英語脳」という言葉を一度は聞いたことがあることでしょう。英語脳とは一体どのような脳のことを言うのでしょうか。
これは脳の仕組みというよりも、英語の聴き方、捉え方です。日本語を介さず英語を英語のまま理解する力のことです。
生まれつき持っている仕組みではなく、環境やトレーニングで身につけることができるものなので、良い方法で鍛えれば、誰でもこの英語脳の状態になることができるのです。
- 英語脳とは「日本語を介さず英語を理解する」こと
- 英語脳はトレーニングで作れる!
- 英語脳を作ることで英語が聞き取りやすくなる!
- 英語をマスターする上で「英語脳」は欠かせない
【はじめに】英語脳とは?
英語脳とは、前述の通り日本語を介さずに英語を理解する仕組みのことです。つまり、英語を英語で理解して使いこなすことが出来るのです。
例えば、私たちは英語を習いたての時から何度も耳にして使っている”Hello.”や”Good morning.”などの挨拶に対して、瞬時に答えることが出来ます。仕組みはこれと同じで、頭の中で日本語に変換したりせずにスッと自然に理解をして答えることが出来る、というと理解しやすいでしょう。
英語脳を作るトレーニング方法7選
気になる英語脳を作るトレーニングを見ていきましょう。方法は多くありますが、自分に合うものから積極的に取り組むことが持続につながります。
語学は続けることが一番難しく、一番大切だと言われています。自分が楽しく続けられる様に、楽しめるものから取り組んでみましょう。
「多聴」理解できる英文を多く聴く
- 毎日英語を耳に入れる
- 英語の歌を聴く
- 英語の番組やYouTubeチャンネルを観る
実はリスニング力は、本気で取り組むと力が伸びやすいものです。しかし多くの人が継続出来ずに止めてしまうので、難しく思われがちなのです。
継続出来ない理由の多くが、最初から自分のレベルよりも高めの英文を聞きすぎて理解できない、というものです。最初は自分のレベルよりも低めのものを狙うくらいの感じで、大体7-8割の内容が理解できる様なものを選んで聴くと自信もつくのでおすすめです。
そして少しずつレベルを上げていくことが、着実に力をつけるポイントです。もちろん一週間に一度一時間よりも毎日少しずつの方が効果的です。
「多読」自分のレベルに合った英文を多く読む
- 興味のあるものを読む
- 自分のレベルに合ったものを読む
- 意味を調べずに読んでみる
英文を読むことが楽しめることが大切なので、まずは自分のレベルかそれ以下のものを読んでみましょう。極端に言うと、最初は子ども用の絵本や高校受験の長文でも良いのです。
まずはわからない単語を一つ一つ辞書で調べずに、大枠の意味を掴む練習をしてみましょう。何について書かれているものか、結論は何なのか、それを英語だけで読んで、わからない単語の意味を自分なりに考えてみるのです。
最初は難しいかも知れませんが、文脈で徐々に知らない単語も意味の見当がついたり、その記事全体の内容をつかめたりしてきます。
「スラッシュリーディング」で英文を読む
- 英文を意味の塊で分けてスラッシュを入れる
- スラッシュのところまでの意味を取りながら読む
- 何度も繰り返して英語の語順に慣れる
スラッシュリーディングとは英文を意味の塊で分けていく方法です。例えば I will go to the park to see my friends.という文章では、I will go という塊で見ると「私は行くつもりだ」という意味です。
その次のto the parkで場所が明確になります。最後にto see my friends で目的がわかります。
スラッシュを入れると I will go / to the park / to see my friends.となります。日本語の語順ではなく、頭から塊で理解していく方法です。
「シャドーイング」を行う
- 英文とそれをネイティブが正しく読んだ音源がセットになっている教材を準備
- まずは文字を見ずに聞こえた通りを口の中でつぶやいてみる
- 何度か繰り返して音に慣れたら、英文を確認
- 英文を見ながら同じことを繰り返して、最終的には耳から聞こえた音だけで全て正しく発音
- 最後は確認のために音はヘッドホンで聞き、自分の声だけを録音して聞いてみると始めたばかりの頃と、しばらく取り組んだ後では発音や抑揚が変わっているのがわかり、良いモチベーションになる
シャドーイングとはまさにシャドー(影)の様に聞こえてくる英文を後ろから追って読む方法です。耳から音を入れながらその音を次々に口で再現するという、同時通訳の方も行っているトレーニングなのです。
段階を追ってトレーニングすれば、誰でも英語を聞き流しながら処理する力や口からスラスラと英語特有の表現が出てくる様になります。これも他のトレーニング同様、自分のレベルより少し下くらいから始めて少しずつレベルを上げていくのが良い取り組み方です。
最初は子どもや中学生向けの例文からトライしてみましょう。音源はもちろんネイティブの正しい発音のものを使います。
「ディクテーション」を行う
- 記事や簡単な会話文など、音声つきの英文を準備
- 何も見ずに全体の音声を流して聞く
- 一文ずつ音声を止めて、聞こえた通りに書き写す
- 必要に応じて何度か繰り返し、英文を見て答え合わせをする
- 答え合わせをしたものを見ながら再度全文を聞き、何が聞き取りにくかったかを確認
ディクテーションは、聞こえた英文を一言一句書き写すトレーニングです。最初は不可能に思えますが、簡単で短い文から始めると楽しみながら続けやすいものです。
このメリットは、自分が落としやすい英語のリンキング(繋げて読む部分)や短い単語などとしっかり向き合えることです。同様に自分も英語ネイティブと同じ様なリズムや抑揚で話せる様に、リズムを意識することが出来ます。
ハードルが高いという人は、まずは全文を写すのではなく穴埋め問題の教材などもあるので、最初のハードルは低めに設定して、楽しみながら続けていきましょう。慣れると聞こえるものが増えて効果が実感できます。
「リピーティング」を行う
- ネイティブが正しく発音している音声教材を準備
- 一文ずつ聞きながら止めて、一文を丸ごとリピートする
- 最初は短めの文から始めて、文の長さを少しずつ伸ばしてみる
リピーティングは音声を聞いてそれを繰り返すという点ではシャドーイングと似ていますが、違いは一文丸ごと聞き終えてから繰り返すという点です。その分、一文をしっかり聞きながら心に一旦留めておかなければいけません。
したがって、この方法は短期記憶力に良いと言われています。英語の発音や抑揚、流れをそのまま真似するというものに加えて、一文をしっかり覚えていないとリピートはできないのです。
メリットは、この方法を繰り返すことで英語特有の音に慣れるだけではなく、表現も多く覚えるので身につけやすく、スピーキングで大きな力を発揮します。
「英会話」でアウトプットする機会を作る
上記の様なトレーニングをしている間に、英語のインプットは膨大な量になります。十分なインプットがされると、コップの水が溢れ出す様にアウトプットがしやすくなると言われています。
頭の中に多く入れた表現を、実際使う場を作ってみましょう。海外留学が良いと言われているのは英語を使う機会が身の回りに溢れていることが主な要因ですが、実際は日本国内にいても英語を使う機会を作ることは十分可能です。
特に今ではITの普及により、海外の人と英語で会話する機会は誰にでも開かれています。オンライン英会話で、英語のアウトプットを日々の習慣に入れてみましょう。
- ネイティブキャンプ
- レアジョブ英会話
- kimini英会話
英語脳を作る5つのメリット
英語脳を作ることで私たちにもたらされるメリットは、どのようなものでしょうか。実際、英語を英語で理解することのメリットは想像以上に多くあり、あらゆる場面で役立ちます。
これさえあれば、今まで諦めていた英語でのスピーディーなやりとりも夢ではありません。メリットを詳しく見ていきましょう。
- ①英語が聞き取りやすくなる
- ②英語の理解度が早くなる
- ③リーディング速度があがる
- ④スピーキングがスムーズになる
- ⑤英語環境下で疲れにくくなる
メリット①英語が聞き取りやすくなる
英語脳は英語を英語のまま理解する力ですから、まず英語の発音やリズム、抑揚に慣れることが必要です。トレーニングする中で英語に多く触れて、耳が徐々に英語に慣れていきます。
海外留学をする人が英語のリスニングが楽になる時期の目安は、大体平均3ヶ月と言われています。これは海外に行かずとも同じ様に英語に触れる期間が同じ程度かそれ以上長ければ、十分実現可能です。
メリット②英語の理解度が早くなる
英語は日本語とは語順が違うことは知られていますが、英語を聞きながら日本語に変換して頭の中で語順を入れ替えていると、速度的に全く内容についていけなくなってしまいます。そこで、もし英語の語順で英語のまま聞き取りながら理解出来たならば、どうでしょう。
日本語を挟む時間がカットでき、英語の語順のまましっかり同じ速度で聞き取って理解できる力があれば、かなり便利ですね。
メリット③リーディング速度があがる
英語を英語で理解するということは、英語を英語のまま聞く、読むことに繋がります。長い記事や小説なども英語の語順のまま読みながら理解していくことができます。
また、英語の音と文字を繋げることで文字も格段に読みやすくなります。英語脳を作るトレーニングの中で、英語の語彙がどんどん増えていくことが実感できます。
メリット④スピーキングがスムーズになる
英語の語順や発音、リズムや抑揚に慣れ、語彙や表現も増えていけば自分の言いたいことを表現することも出来る様になってきます。これは英語以外の言語でも言えることですが、その言語のインプットを大量に行っていると、自分の口からのアウトプットに繋がるのです。
英語脳は単に読み書きや理解が早くなることに加え、英語で発言する力を養うことができます。
メリット⑤英語環境下で疲れにくくなる
日本人の私たちが英語に触れた時に疲れてしまう要因としては、頭をフル回転させて日本語と英語を行き来してしまうことや、慣れない音や表現の処理に追いつかないことなどが挙げられます。英語を多くインプットして英語に慣れていると、頭の中を無駄に回転させなくても日本語を使う時の様に情報処理が早くなり、疲れにくくなるでしょう。
また、自分発信の表現も英語を話す時には英語の頭に切り替えられるので、楽になってきます。
英語脳を作るときに注意したいポイント
英語脳を作る、となるとストイックに取り組まなければいけない様な気がしますが、いかに効果的に自分に合った方法を取るかが大切です。そして一番大切なのは、継続することです。
続けるために必要なのは、何よりも効果が見える喜びです。出来るだけ自分が達成感や小さな成功体験を積みながら前に進める様にポイントをしっかり押さえて続けましょう。
日本語で考えず英語のまま理解することを意識する
大人の方の英語学習で一番苦労するのが、日本語と英語の行き来を止めることです。英語を習い始めた頃についてしまった和訳の習慣を、効果的なトレーニングで変えていきましょう。
英語には日本語にない言葉も多くあります。例えば「忘れ物」という単語を英語で探しても、英語にはない言葉なので答えは見つかりません。
今自分は英語モードに入っているのだ、という意識を持つことは大切です。日本語にこだわらないことは、スムーズなコミュニケーションにとても大切なのです。
英語の語順のまま理解する
日本人にとって英語が難しい最大の理由は語順だ、と言われています。しかし、慣れてしまえば英語は状況をイメージしやすく、文が作りやすい言語です。
英語は語順通り読み解けば、誰が何をしているかを理解できます。続く文章で時や場所等の説明が追加されるため、脳内で状況をイメージするのが容易です。
和訳のために英語の語順を無視すると、正しい理解が出来なくなります。英語を語順通りに理解していくことは、シンプルかつ重要な考え方です。
英語脳の作り方に関するよくある質問
英語脳を作るための行動を実際に起こすには勇気がいると感じるかもしれません。英語脳は限られた人にだけ与えられた能力で、自分には無理なのではないかと諦めてしまう人も少なくないでしょう。
ここでは、よくあるご質問にわかりやすくお答えしていきます。
【質問1】英語脳を作るためには留学は必要?
英語脳を作るには英語環境が大切なのは前述の通りですが、英語環境は日本で生活しながらでも十分作ることは可能です。逆に留学をしたからと言って、積極的に英語で話す努力をしない限り英語力が伸びることはありません。
肝心なのは、自分に合った効果的な方法で英語漬けの日々を過ごし、それを継続していくことです。方法が正しくないと、いくら頑張っても結果が出ないということになりますので、自分に合った方法を見つけられたら留学をしなくても十分英語脳を作ることが出来るのです。
【質問2】大人になってからでも英語脳は作れる?
幼ければ幼い程楽に英語脳になれることは知られていますが、大人になると不可能になるという意味ではありません。大人の学習者の方がモチベーションがしっかりしていたり、自発的に学ぶ姿勢があるので伸びが速いことも十分あり得ます。
自分が何の目的でトレーニングをするのかを理解し、小さな成功体験を積んで自信を得ていくことで、大人でも英語脳を作っていくことが可能です。途中で諦めさえしなければ確実に前に進んでいけることでしょう。
【質問3】子どもの英語脳を作るためのポイントや注意事項は?
子どもは「楽しさ」が勝負になります。子どもの興味をよく知った上で、興味に沿った教材や方法を選ぶことが大切です。
ポイントはとにかく英語タイムを楽しい時間にすることです。朝起きて家を出る前や、寝る前のゆっくりタイムなど、毎日の英語時間を習慣にしましょう。
そして、注意事項はとにかく「結果を焦らない」ことです。最終的に子どもたちが自発的に英語に触れることを目的にしてください。
習慣化すれば後は子どもたちが自分で英語に触れていき、その間に英語脳を作っていくでしょう。
【まとめ】英語脳は継続学習によって作られる
アインシュタインの言葉に「挑戦を止めるまでは、失敗ではない。」という言葉があります。英語の習得が出来なかった、と言う方々にとって英語学習は過去のものになっているのです。
英語脳に繋がる道は、自分で歩みを止めない限り続きます。
諦めずに続けられる様に、自分に合った方法を見付けて継続しましょう。